2022年5月2日月曜日

穂実あゆこさんの漫画!~「荼吉尼」を推してみる。


ときは1990年代。

女子高生・那月は、夜ごとみる、不気味な樹木に囚われた血まみれの少年の夢に悩まされていた。

それ以外はとりたてて目立つところのない、平凡な女子高生だと、本人も周囲も信じて、日々を過ごしている。

そんな那月だから、世間に徐々に闇が広がっていることにも気づかない。

自分を庇護してくれる優しいおじ夫婦と従兄の葵に囲まれ、何不自由なく過ごしている。

だが、もちろん彼女には秘密があるのだ。

血の女神・荼吉尼(ダーキニー)だという秘密が…

あることがきっかけで那月は荼吉尼として覚醒し、慕わしい夢の少年を探しに行く。

相棒に、かの陰陽師の生まれ変わりである少年・鹿島忍を連れて…

しかし、それを激しく妨害する魔神があらわれて…どうなる?


という、おはなし。

那月が荼吉尼に覚醒してからの展開が、ともかくかっこいいのですよ。

荼吉尼は超然としていて、冷笑的で、それでいて一途で義理堅い。

夢の中の少年を助けるため、そして相棒になった少年・鹿島を助けるため、ひたすら戦う。

ホラー漫画にしてはかわいらしい絵柄なんですが、荼吉尼に待ち受ける運命は、なかなか過酷です。

(ホラー漫画にありがちな不必要なほどエグイ絵はほとんどありません。ご安心を!)

過酷ななかでも、夢の中の少年への愛を貫く荼吉尼と、それを助ける鹿島。

このコンビネーションもさることながら、かれらの行く手を邪魔する敵役もなかなか魅力的。

悪いには悪いんですが…どこか悲しい。

というか、この敵役の「夢」が現実になって、世界が滅びるらしいんですが、おいおい、いまの世界情勢、こいつの「夢」じゃないだろうなー。

それはさておき、物語は学園生活からはじまり、次第に敵役に追われつつの、夢の中の少年探しの旅に突入します。

しかも、その旅が「鬼に憑かれた人」が目印になっていて、それをたどると、この世に敵役を呼び出した張本人を探り当てられる、という、わくわくする展開!

ラストまで意外な展開の連続で、作者のストーリーテリング能力の高さに唸りっぱなし。

結末は、ぜひその目で確かめてくださいませ。



遠い昔の話をしましょう。

わたくしが東京に住んでいたころ、たまたま何かの用事で高円寺の駅前の本屋に立ち寄ったのですね。

というか、その当時は、本屋があったら、かならず入店して本を一冊買っていく、ということをしていました。

いつもは三国志関連の本を買うのですが、そのときは、なぜかめったに買わない少女漫画、しかもホラー漫画に心ひかれまして。

それがこの「荼吉尼」だったのです(全3巻)。

何度も読み返した、大好きな漫画。

しかし、東京から引っ越すとき、スペースの事情で漫画本をたくさん手放す必要が出てしまい…「荼吉尼」は手放さないつもりだったのに、誤って手放してしまった!

しかも、それに気づいたのがずいぶん経ってから。

そのときにはもう絶版になっていたし、古本で手に入れるのは嫌だったので、結局、それっきりに…

「あー、あの漫画の那月、かっこよかったなあ。なんかグッとくる扉絵とか、鹿島との関係性もすごくよかったのになあ」

ずーっとそう思っていたのです。


そして、2022年春。

Amazon Unlimitedの会員になったわたくし。

けっこう昔の漫画もあるんだね…といろいろ調べて、思い立ったのです。

「穂実あゆこさんの漫画もあったりして」

で、検索すると!

ああああああああ!

あるじゃん! 穂実あゆこさんの「荼吉尼」ッ!!

読めるんだ、また読めるんだー--!

これを巡りあいの奇跡と言わずしてなんと言おう!

読みたい本って、ふしぎなくらい読みたいなと思った時に、手元に来てくれるんですよねえ。

本の神様、ありがとう!

この場合は、女神・荼吉尼様ありがとう! かな? ともかくありがとう!


とまあ、興奮して一気読みしました。

だいぶ古い漫画なんですが、内容はぜんぜん古びていないと思います。

ホラーというよりも、現代によみがえった残酷な神話というか。

前述したとおり、荼吉尼は、女神らしく超然としていてクール、しかし一方で、一途で義理堅い。

この「義理堅い」というところがポイントで、ラストも「そうくるか!」という展開をみせます。


穂実あゆこさんの漫画はほかに「月姫~Gekki」がありますが、ほんとうに、人外の少女、超常の力をもつ少女の描写がうまい!

見た目はかわいいけれど、中身は鬼神。

好みのツボをグッと押されてしまいました。

Amazonだけではなく、あちこちのマンガアプリでも読めるみたいです。

面白さ保証!

読んで見てくださいましー。


ところで 穂実あゆこさん。

日本のバブル期前後に活躍されていた少女漫画家さん…

だと思うのですが、wikiもなく、詳しいことが今一つ調べきれませんでした。

もう漫画は描かれていないのかな?

そうだとしたら、ちょっと寂しいですね…