アニメ版と漫画版のちがい
漫画版 風の谷のナウシカ!
漫画版は、歌舞伎にもなりましたね。
TV放映もされたので、ご覧になった方も多いのでは。
それで、びっくりされた向きもいらっしゃるのではないでしょうか。
よくアニメ版は漫画版の一部に過ぎない、という言い方をされますが、ちがいます。
アニメ版は、漫画版の世界観を単純化して、ストーリーもわかりやすく作ってあるのです。
似て非なるもの、といっても過言ではない。
しかも漫画版は、大自然の復讐者としてあらわれる王蟲VS生き残った人類、という話では「ない」のです。
王蟲ですら、漫画版では重要だけれど脇役に過ぎない。
しかも漫画版の王蟲、しゃべる!
アニメ版と漫画版、どっちが好き、と問われたら、迷いなく漫画版、と答えます。
これを超える漫画は、そうそうありません。
ただし、漫画版は異質な雰囲気が最初から漂っており、あまりふだん漫画を読まない人には戸惑いのほうが強く感じられるもののようです。
学研の学習まんがしか読まない父が、めずらしくナウシカを読みたいと言ったので、貸したところたったの1巻で挫折しました。
読み方がわからない、といっていました。
かくいうわたしも、1巻を買ったときは、アニメ版との違いや世界観への理解が追い付かないことなどに戸惑って、
「面白いのかなあ?」
と思ってしまったクチ。
アニメ版を見てしまうと、物語が綺麗に終わっているので、漫画版い違和感を覚えます。
が、それも最初だけ。
2巻から、だんだん状況が理解できてきて、おいおい、こりゃすごいぞ、となってくる。
ちなみに、アニメ版は、2巻の途中までのエピソードをうまく抽出して、風の谷VSトルメキアの争い、というふうに変えてあります。
そう、漫画版ではトルメキアは「侵略者」でも「敵」でもないのです。
どういうことなのやら?
数回に分けてお届けすることになりますが、漫画版の魅力をば、ご紹介。
漫画版の魅力 その1・三つ巴の戦い! 三国志じゃん?
人類が世界大戦を経験たことで大地が汚染され、そのあとに腐海ができてしまう。
腐海には独自の生態系ができていて、その頂点に位置するのが王蟲。
そして、腐海では耐えなく噴出される毒のため、人類はマスクなしに呼吸をすることができない。
じわじわと拡大をつづけている腐海に人類は呑み込まれようとしていた。
それでもなお、残された清浄の地をめぐって、人類は愚かしくも、まだ争いをつづけている……というのが、漫画版の大前提。
風の谷は、人口500名ほどの小さな国で、周辺にはおなじく小さな国々が存在しています。
かれらはそれぞれ独立していますが、東の大国トルメキアには従属している、という立場。
そして、トルメキアは、西にある大国・土鬼(ドルク)とは不倶戴天の敵同士。
(アニメ版には土鬼のドの字も出てこないので、まずここで混乱しがち)
漫画版がスタートする時点では、トルメキアのヴ王が、土鬼に戦争を仕掛けたので、ナウシカも戦役につかねばならなくなるという状況です。
しかも不穏なことに、トルメキアとは友好関係にあったペジテが、トルメキアに急襲され滅亡する、という事件も発生!
それにはどうやら、古の最凶兵器・巨神兵が絡んでいるらしく……
とまあ、ややこしいですが、トルメキアと風の谷を含む辺境の国々と、土鬼、つまり、この世界は三つ巴の三国志状態なのです。
1巻の時点では、トルメキアのヴ王には四人の子供がいて、そのうち三人の皇子が前線にいて戦っており、第四皇女のクシャナがペジテを襲ったことが明らかになっています。
ナウシカは、父が腐海の毒に侵されてまい寝たきりなので、クシャナの軍に合流するために風の谷を出ます。
クシャナとも、戦場で邂逅するよりまえに、ペジテの船をめぐってひと悶着あるのですが、それもまた、漫画版とアニメ版とではだいぶ異なる描き方がされています。
優しく、猛々しく、その中に人間らしい残酷さもじつは秘めているナウシカ。
ナウシカは、淡々と自らの運命を受け入れ、責務を果たそうとします。
ところが! と話はどんどん思わぬ方向へ転がっていきます。
もちろん、ここでそのネタバレはしません。
読んだほうが、はるかに早い! 未見の方はぜひ読んでみてくださいませね。
なんと「その2」につづく……
語っても、語りつくすということがない、おそるべしナウシカの世界!
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